剣道入門

剣道は、竹刀と防具を用いて一対一で打突を競い合う日本の伝統武道です。「勝負」だけでなく「人間形成の道」としての側面を強く持つ点が、他の多くの格闘競技と異なる特徴です。このページでは、これから剣道を始めたい方、お子さんに剣道を習わせたいと考えている保護者の方に向けて、剣道の基礎知識をまとめました。

剣道とは

剣道は、竹刀(しない)を日本刀に見立て、面・小手・胴・突の4つの部位への「有効打突」を競う武道競技です。全日本剣道連盟は剣道の理念を「剣道は剣の理法の修錬による人間形成の道である」と定めており、単に相手に勝つことだけでなく、礼儀や精神修養を重視する点が大きな特徴です。

年齢や性別、体格差を超えて対等に競技できることも剣道の魅力のひとつです。小学生から高齢の愛好者まで、幅広い世代が同じルールのもとで稽古・試合を行っています。

剣道の歴史

剣道の源流は、武士が実戦で用いた剣術にあります。江戸時代に入り戦乱の時代が終わると、剣術は安全に稽古できるよう工夫が重ねられ、竹刀と防具を用いる「撃剣(げきけん)」の稽古法が各流派で発達しました。これが現在の剣道の直接の原型です。

明治時代になると、警視庁が剣術を採用したことなどをきっかけに全国的に稽古法の統一が進みます。1895年(明治28年)には大日本武徳会が設立され、1912年(大正元年)には「剣道」という名称と統一された形が定められました。第二次世界大戦後は一時禁止された時期もありましたが、1952年(昭和27年)に全日本剣道連盟が設立され、スポーツとしての剣道として再出発し、現在に至ります。

剣道の防具(剣道具)

剣道では、竹刀による打突から身体を守るため、4種類の防具(剣道具)を身につけます。

  • 面(めん):頭部・顔面・首を保護する防具。面金(金属の格子)と面布団で構成され、打突の対象となる「面」部位もここに含まれます。
  • 小手(こて):手首から前腕を保護するグローブ状の防具。竹刀を握ったまま自由に動かせるよう作られています。
  • 胴(どう):胸から腹部を保護する防具。樹脂や竹を編んで作られ、表面には家紋や刺繍が施されることもあります。
  • 垂(たれ):腰から下腹部を保護する防具で、5本の帯状の「垂」からなります。中央の垂には氏名や所属を記した「名札」を付けるのが一般的です。

初心者のうちは面・小手・胴・垂をすべて揃える必要はなく、多くの道場では最初は防具なしで竹刀の振り方や足さばきから稽古を始めます。防具は数万円程度からと決して安くはないため、多くの道場では貸出用の防具を用意していたり、中古品を紹介してくれたりします。入会前に道場へ相談してみるとよいでしょう。

竹刀について

竹刀(しない)は、4枚の竹片を組み合わせて作られた剣道専用の用具で、日本刀を模しています。竹刀の長さや重さは年齢・性別・段位によって全日本剣道連盟の規定で細かく定められており、試合ではこの規定に適合しない竹刀は使用できません。

区分長さ(規定上限)重さ(規定下限の目安)
一般男子120cm以下510g以上
一般女子120cm以下440g以上
高校生男子117cm以下480g以上
高校生女子117cm以下420g以上
中学生男子114cm以下440g以上
中学生女子114cm以下400g以上
小学生体格に応じて選択体格に応じて選択

近年はカーボン製など竹以外の素材でできた竹刀も普及していますが、竹刀を消耗品として使い続けることになるため、多くの剣道人は複数本を用意し、稽古の合間に竹の割れやささくれがないかを点検する習慣を身につけています。

有効打突と剣道の部位

剣道の試合では、竹刀の打突部(先端から3分の1程度の部分)で、決められた部位を正しい姿勢・気迫・声(気合)とともに打突し、それが審判員に認められたときに「一本」となります。これを「有効打突」と呼びます。

  • 面(めん):頭部への打突。最も基本となる技。
  • 小手(こて):手首への打突。主に右小手が対象。
  • 胴(どう):胴体への打突。
  • 突(つき):喉部への突き技。安全上の理由から、突きは主に上級者・成人の試合に限定されることが多い技です。

有効打突と認められるためには、単に部位に竹刀が当たるだけでは不十分で、「気」「剣」「体」の一致(充実した気勢、正しい姿勢、適正な打突部での打突)と、打突後の油断のない身構え・心構えである「残心」が求められます。この総合的な評価基準が、剣道を単なる接触競技ではなく武道たらしめている要素のひとつです。

試合の形式と審判

剣道の試合は、原則として3名の審判員(主審1名・副審2名)が旗を用いて判定します。2名以上の審判が同時に同じ部位への有効打突を認めた場合に「一本」が成立します。多くの大会では3本勝負(先に2本を取った方が勝ち)で行われますが、時間制限付きの1本勝負など、大会によって形式は異なります。

個人戦のほかに、5人〜7人程度のチームで対戦する団体戦も盛んに行われており、中学・高校・大学の部活動やクラブチームの多くは団体戦の大会を主な目標として稽古に取り組んでいます。剣道サーチの「チーム検索」では、全国の中学・高校・大学・道場のチームを都道府県別に検索できます。

段位・級位制度

剣道には、技量や修行の深さを表す「段位」「級位」の制度があります。一般的に級位は10級〜1級、段位は初段〜八段まであり、数字が大きくなるほど(級位は数字が小さいほど、段位は数字が大きいほど)上位となります。

級位は主に所属する道場や剣道連盟の支部単位で審査が行われることが多く、初心者はまず級位からスタートします。初段以上の段位審査は全日本剣道連盟または都道府県剣道連盟が主催し、実技(剣道形を含む)と学科(筆記)の両方が課されます。上位の段位になるほど受審に必要な年数や年齢の条件も厳しくなり、七段・八段は長年の修行を積んだ熟練者だけが到達できる位です。

剣道の礼法

剣道は「礼に始まり礼に終わる」武道と言われます。稽古や試合の開始・終了時には必ず互いに礼を交わし、道場(稽古場所)に入る際・出る際にも一礼するのが一般的な作法です。竹刀を振り回したりまたいだりしない、目上の先生に対しては正座で挨拶をするなど、細かな所作にも意味が込められており、初心者はまずこうした礼儀作法から稽古が始まります。

こうした礼法を重視する文化は、剣道が「勝敗」だけを目的とした競技ではなく、相手を尊重する心や自己を律する姿勢を養う「人間形成の道」であるという理念に基づいています。

これから剣道を始める方へ

剣道を始めるにあたって、特別な運動経験や体格は必要ありません。多くの道場・クラブでは、未就学児から社会人・シニア層まで幅広い年代を受け入れており、体験稽古を実施しているところも多くあります。まずは近くの道場やクラブ、学校の部活動に問い合わせて、見学・体験から始めてみるとよいでしょう。

剣道サーチでは、全国の中学・高校・大学・道場のチームを都道府県・区分別に検索できます。あわせて、公式サイトを持つチームは「ホームページの有無」で絞り込むこともできますので、稽古の見学や体験入部を検討する際にぜひご活用ください。

あわせて読みたい

→ チーム検索はこちら