剣道は「礼に始まり礼に終わる」武道と言われます。試合や稽古の技術だけでなく、礼儀作法を大切にする点が剣道の大きな特徴のひとつです。このページでは、初めて道場に通う方が知っておきたい基本的な礼法と、その考え方について解説します。
なぜ剣道は礼儀作法を重視するのか
全日本剣道連盟は剣道の理念を「剣道は剣の理法の修錬による人間形成の道である」と定めています。剣道はもともと真剣勝負を前提とした剣術に由来しており、相手を敬う気持ちや自らを律する姿勢がなければ、稽古そのものが成り立たないという考え方が根底にあります。礼儀作法は、単なるマナーではなく、相手への敬意と自己を戒める心を形に表したものとされています。
道場での基本的な礼法
- 道場への入退場の礼:道場に入るとき・出るときに、道場に向かって一礼する。
- 稽古開始・終了の礼:正座をして「よろしくお願いします」「ありがとうございました」の挨拶を行う。
- 正面への礼:多くの道場では、正面(神棚や指導者の写真などが掲げられている方向)に対しても礼を行う。
- 相手への礼:稽古や試合の相手と向き合ったとき、始まりと終わりに互いに礼を交わす。
試合における礼法
試合前には、選手同士が向かい合って立礼(りつれい:立ったまま行う礼)を行い、その後、蹲踞(そんきょ:しゃがんだ姿勢)から竹刀を構えて試合が始まります。試合終了後も同様に礼を行い、勝敗にかかわらず相手への敬意を示すことが求められます。ガッツポーズなど過度な喜びの表現は、剣道の礼法においてはふさわしくないとされ、審判から注意を受けたり、場合によっては一本が取り消されたりすることもあります。
竹刀・防具の扱いに関する作法
- 竹刀は日本刀に見立てた道具として扱い、またいだり足で踏んだりしない
- 竹刀の刃部分(正しい打突に使う側)を意識し、無造作に投げたり引きずったりしない
- 防具は正しい順序(面を最後に着け、最初に外すなど)で着脱するのが一般的な作法とされる
- 面を外した後は、面紐を丁寧に整えてから置く
先生・先輩への接し方
指導者や年長者に対しては、正座での挨拶や、稽古をお願いする際の一礼など、目上の人を敬う所作が随所に求められます。こうした所作は最初は堅苦しく感じられるかもしれませんが、繰り返すうちに自然と身につき、日常生活における挨拶や振る舞いにも良い影響を与えると考える指導者も多くいます。
初心者が意識したい3つのポイント
- わからない作法があれば、見よう見まねで構わないので周囲に合わせてみる
- 形だけでなく「相手への敬意」という礼法の意味を意識する
- 間違えても大きな問題にはならないので、萎縮せず稽古に参加する
礼法は道場によって細かい違いがあります。最初から完璧にこなす必要はなく、稽古を重ねる中で少しずつ身につけていくもので十分です。剣道の基礎知識全般については「剣道入門」のページもあわせてご覧ください。

